ー今更ながらアイドルラノベの話をしよう

皆さんこんばんは。

水嶋咲のトレンチことkatariyaです。

 

この記事は Except imas Advent Calendar 2018の8日目の記事です。

adventar.org

 

アイマスPがあえてアイマス外ものを題材にブログを書いていくということでクリスマスまでブログリレーを続けていくこの企画。

前回はむさしPさんの「アイドルと鉄道経営ができるって本当ですか? - むさしヶ丘三丁目」でした。A列車で行こうめっちゃ楽しいですよね……。アイドル架空戦記とかゲームやっている系動画大好きです

 

というわけで、今回私の記事に関してはアイマス外ということで悩みましたが、ライトノベル、特にアイマス関連のPが繋ぐということで「アイドルラノベ」の話をしたいと思います。

 

◆そもそも「アイドルラノベ」って?

ライトノベル」という言葉が出たのは諸説ありますが、だいたい20年近く経っております。アニメやコミカライズ等もあり、この言葉自体はかなりの市民権を得ているようです。
ただ「ライトノベル」といってもその内部的にはあまりにも多種多様で、それこそ観測している人によって「ライトノベル」という言葉自体の意味合いが変わるくらいには広いくくりのものとなっております。

このブログ内では「ある一定のレーベル(電撃文庫、MF文庫などなど)から出ている小説群」くらいの意味で話をしていきます。

 

さて、そんなライトノベルでも「アイドルを題材にしたもの」が存在します。

ライトノベルというのは、オタク業界内の流行が反映された作品が一定数出てきます。

そして、一時期アイマスラブライブ!、WUGといったアイドル物が群雄割拠した辺り(大体2015年あたり)で、ライトノベルでもアイドルを題材にしたジャンルが出始めた時期がありました。

今回はそんなアイドルを題材にしたライトノベルをいくつかご紹介していきます。

MF文庫Jエンジェル・フェスタ!

 一作目はMF文庫Jから2014年に刊行されました「エンジェル・フェスタ!」です

 

あらすじ
水無瀬みなも、朝霞カナミ、宮藤詩歌、星宮舞衣、鳴森アリス、速水凛子、美月ゆず。これは、年齢も性格もバラバラな少女たちが集ったアイドルの物語。学校がアイドルの育成を始めて10年。“落ちぶれた名門校"星歌台学園に籍を置く彼女たちは、互いの顔も知らない、名ばかりアイドル候補生だった。レッスンに来ていたのは水無瀬みなもただ一人。少し特殊な海外経験を持つ主人公桜木陸は、警備員のバイトに応募したはずがみなものコーチにされてしまう! 陸はメンバー集めに奔走するうち、彼女たちがステージから離れている理由を知っていくことになるが……? 秘めた熱い想いをそれぞれの胸に刻んで――。絶対アイドルストーリー、堂々開幕!

 あらすじからもわかる通り、落ちぶれた名門校を復興させるために学園アイドルしようという本作。

アイドルというものは逆境からトップを目指しがちというのはアイマスでも765プロの時代から変わっておりませんが、最初まとまりのなかったアイドルたちがレッスンやライブを通して成長していくというのは王道の進行となっています。

ただそんな王道の進行の中で主人公の桜木陸は特殊な海外経験というのがかなり特殊で、海外従軍経験がある元傭兵設定というかなりな設定がぶち込まれています。
そんな彼がコーチとして傭兵上がりの指導をしていくというので、その経験からアイドルに信頼されるきっかけとなるというのが、主人公の個性が強い本作らしい構成かなと思います。


こちらですが、実はかなりメディアミックスを意識した作品でして、一巻が発売した時点で声優さんが決まっていたりしました。

千本木彩花さんや優木かなさんなどお名前をご存知の方もいるかもしれません

 

また三巻で楽曲も出ておりましてサウンドプロデュースはTrinity Fieldやarcadiaを作った上松範康が代表を務める「Elements Garden」です。

 


【デビュー曲公開!】MF文庫J発! 1ページ先のアイドルプロジェクト『エンジェル・フェスタ!』作品紹介PV公開!

 

しかし、残念なことに2015年に発売された3巻をもってそれ以降続刊は今なお出ておりません。3巻でようやっと、ようやっと全員が揃ったところだったんや……。表紙の子たち全員揃ったところだったんや……。なんでや……。これから全国やったんや……。

というわけで3年経ちましたが4巻お待ちしています

ちなみに私の推しのアイドルは宮藤詩歌です。

メロディ・リリック・アイドル・マジック

というわけで続きましては―エックス文庫から2016年に刊行されました「メロディ・リリック・アイドル・マジック」です。

あらすじ
僕らの街に降りそそぐアイドルという魔法 東京都沖津区(とうきょうとおきつく)――国民的アイドルグループ・LEDに叛旗をひるがえした女子高生アイドルたちがしのぎを削る街。 高校入学に合わせて学生寮に入った「吉貞摩真(よしさだなずま)」はそこが沖津区アイドルたちの根拠地であることを知る。しかし彼にはアイドルを好きになれない理由があった。 一方、同じ寮で暮らす「尾張下火(おわりあこ)」は、学校一の美少女「飽浦(あくら)グンダリアーシャ明奈(はるな)」に誘われ、アイドルグループを結成する。しかし彼女にはアイドルにまつわる暗い過去があった。 言葉にできない二人の秘密が交錯するとき、アイドルの持つ真の力が明らかになる。メロディアスでリリカルなアイドル・熱血ラブコメディ、登場!


作者の石川博品(「いしかわ ひろし」と読みます)はライトノベル業界でもカルト的な人気を誇る作家です。

皇帝の寵愛を受けるために帝国中の美少女たちが野球でしのぎをけずる「後宮楽園球場」や

連邦制国家の全寮制の学校を舞台に共和国時代に反乱を起こし、捕虜の耳を刈ったことで恐れられた王国の王女ネルリと学園生活を送る「耳刈ネルリ」シリーズなど、
独特の作風で怪作を生み出しています。

 

そんな彼が描くアイドル物が普通であるわけもなく、どこか中野を思い起こさせる沖津区で出てくる連中はどれも狂っています。
そもそも国民的アイドルグループLEDがかなり攻めているが、沖津区ではそんな商業アイドルに反旗をひり替えして小さなライブハウスで真のアイドルたちであるインディーズアイドルが日夜しのぎを削っている。
そんな沖津区のトップアイドルである「世゜界」のライブで「いまやれ!早くやれ!うまくなるのを待ってないでやれ!」と焚きつけられた、実はLEDに憧れているアコとLEDを敵視しているアーシャ、さらに主人公のナズマがお互いの秘密を抱えながら、ライブをきっかけにアイドルになっていく物語はキュートでロックで、きらきらと輝いている。また文章もとてもリリックにあふれている。

 

好きな人がアイドルになってしまったら、テレビやBooble+の中にいて、会いに行けるアイドルで、でも会えなくて、死別するよりもつらい。アイドルは選ばれし者しかなれなくて、死は誰もが行く場所だ

(本文468 ページより引用)


この作品は徹頭徹尾「誰がアイドルというものを規定するのか」というテーマがあります。大手に認められたからアイドルなのか、観客に認められたらアイドルなのか。
この根底にあるのは自分が何者であるか、そして自分が何を見せて生きたいのか、というとても根源的な「人に何かを見せる」という行為を巡る願いと感情の物語です。

 

アイドルが絵でも小説でもなんでもいい、それらは「いまやれ!早くやれ!うまくなるのを待ってないでやれ!」というものであり、そしてその行為の大小にどこまでも貴賤はないという作者の祈りにも似た願いで溢れています。

 

ここから個人の感想になりますが、石川博品はとても「やさしい」作家だと思っていて、彼は現実はどうであれ作中の人物たちがその中でとても小さく異端な存在であってもその人々の生き方に関して「受け入れて」描きます。出てくるものがどんな突飛なものであってもその姿勢が変わらないところが、彼がある一部の人たちに熱狂的に支持されている理由なのかもしれません。

 

こちらは一巻完結になっていますので気になった人は是非読んでみてください!

 ちなみに私の推しのアイドルは尾張下火です。

◆アイドル生徒会

アイドル生徒会! (ビーズログ文庫アリス)

アイドル生徒会! (ビーズログ文庫アリス)

 

さて最後の作品は2015年にビーズログ文庫アリスから刊行されました「アイドル生徒会」です

 あらすじ

こんな生徒会、見たことないっっ!!!!! ドキドキだらけの逆ハー学園LOVE☆

生徒会役員をアイドルが担う時代――大好きな人気アイドル・柚様に会うため、運だけ(!)で高校に合格した甘菜は、さらに<生徒会の姫様>に抜擢され大興奮↑ これで柚様とお近づきに♪と思ったのに!?「――気に入らねぇな、こんな姫様」“爽やか王子”のハズが超絶俺様な柚を筆頭に生徒会はヤバすぎる男子の集まりだった! この状況、変えられるのは……わたしだけ!? ミラクルガールが奇跡を起こす☆逆ハー学園LOVE、開幕!!!!

 というわけで、あらすじからお判りいただけますが、ビーズログ文庫自体はいわゆる女子向け文庫レーベルで主にファンタジー向けが強い文庫ですがその姉妹レーベルであるアリスは現代舞台の作品を取り扱うレーベルです。
舞台は2035年の高校で、発達しすぎたSNSの影響で勉学に集中できない生徒ばかりになったことで、恋愛事情が放漫となり、それを解決すべく国は「アイドル生徒会制度」を執行しました。

◆高等学校において、男子は男子校に通い、女子は女子高に通うことを原則とする

◆各高等学校は、毎年、一人~二人の魅力溢れる生徒を選抜し、その生徒を「アイドル 特待生」(以下アイドル生徒と記す)として学校に入学させる(女子高校は男子のアイドル生徒、男子高校には女子のアイドル生徒が通うこととする)

◆アイドル生徒は、それぞれの学校で受け継がれているアイドルグループに属し、学校のためのアイドル活動を行う

……
(本文11ページより引用)

 そんな中で、アイドル生徒会グループ「柑橘系王子」が通う美柑学園を舞台にファーストレディ制度(アイドル生徒以外に唯一学園から一人生徒会に所属できる制度)によって選ばれた超ドジだけどラッキー体質な主人公・佐藤甘菜と生徒会に通うイケメンアイドル生徒たちのドキドキ学園生活が描かれていきます。

内容がかなり極まっていますが、キャラクターもなかなかです。


ほんわか癒し系王子の「梶本檸檬乃介(れもんのすけ)」

インテリ眼鏡系王子の「樹下月出里(すだち)」

さわやか正統派王子の「夏木柚」

悩殺フェロモン王子の「星野嘉保須(かぼす)」

キラキラおしゃれ王子の「相模来夢(らいむ)」

 

それぞれ5人のアイドル生徒が外から見るとキラキラしているのが、

生徒会の中ではとんでもない一面をもっているという辺りも実に王道ですがそれぞれのキャラが濃いです。


この作品は合間合間に挟まれるアイドルソングが最高に来ています。
私の大好きな劇中歌の「君はvitamin」の一部紹介します

♪君はvitamin

口内炎 目が霞む 苛々 疲労 肌荒れ……

君はボクの中にいるのが当たり前すぎて

ボクは君を忘れていたんだ

ねえ、でも 昨日の夜
君がいないとダメだって気づいたんだ

だから 君を摂取しよう

(本文237ページより引用) 

この一部でも最高だとわかりますね。全編にわたってこのような感じの濃い濃度のアイドルソングがこれでもかと散りばめられていて、だんだんと「柑橘系王子」が大好きになってきます。

また、アイドルとのドキドキシチュエーションも必見で逆ハーものが好きな方はぜひ一読することをおすすめします。

 

ちなみに私の推しのアイドルは相模来夢です。

私の推しのアイドルは相模来夢です。

(大事なことなので2回(ry)

◆まとめ

というわけでアイドルラノベをいくつかご紹介してきました。
これ以外にもアイドルラノベは数は多くないもののまだまだございますので興味のある方は是非この機会にライトノベルを一冊読んでみてはいかがでしょうか?

なお、実はライトノベルレーベルからアイマスのノベライズも昔は出ておりました

 

アイドルマスター(1) やすらぎの旋律 (ファミ通文庫)

アイドルマスター(1) やすらぎの旋律 (ファミ通文庫)

 

 

アイドルマスター2 ときめきのSummer Days (ファミ通文庫)

アイドルマスター2 ときめきのSummer Days (ファミ通文庫)

 

 どちらも出たのが12年前とかなり前で今では入手困難なところもありますが、
オリジナルストーリーとしてなかなかの出来でアイドルの新しい一面が見れるかもしれません。

次回はみずいろこねこ(@tiny_berry_)さんの番となります。
他の人が創作ってどういう動機で始めるかってわりと興味ありますよね

 

ではでは、今回はこのへんで。